垂れ壁のおしゃれな実例10選とメリットデメリットを紹介!導入時のチェックポイントも解説します
2024年11月14日
2024年12月11日
天井から垂れ下がった形状の壁を「垂れ壁(たれかべ)」と言います。躯体の構造や建築基準法、消防法など様々な理由で設計されますが、「圧迫感がある」や「影ができる」等デメリットに焦点が当てられがちです。しかし、実はうまく活用することで機能面だけでなくデザイン性も確保することができます。
今回の記事では、垂れ壁のメリット・デメリットをはじめ、HOLIDAYSで施工したおしゃれな垂れ壁のある事例をご紹介していきます。垂れ壁を取り入れようか悩んでいる方は必見です。
CONTENTS
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垂れ壁(下がり壁)とは?
垂れ壁とは、天井や梁から床面に向かって垂れ下がっている壁のことを指します。本来、下記の用途として設計されてきた垂れ壁ですが、現在ではデザインの一部として取り入れられることも多くなってきました。
【そもそもの垂れ壁の役割】
①防煙壁としての垂れ壁(キッチン用)
キッチンは火を扱い、煙が発生する場所であるため防煙壁として垂れ壁が出る可能性が高い場所です。また、周囲の内装で使う部材についても建築基準法で細かく規定が定められています。
※2009年に規定が緩和され、コンロ周りを不燃材で覆えば防煙壁を作る必要が無くなったため、現在ではほとんど設けられていません。
②躯体強度の向上としての垂れ壁(2×4工法)
「2×4工法」は柱ではなく壁で建物を支える工法のため、耐力壁の中心に開口部を設ける場合は強度を保つために垂れ壁が必要になります。耐震性は確保できるものの、開放感を重視する方にとってはネックになる一面もあります。
③壁式構造としての垂れ壁(RC造)
RC造で用いられる、柱を用いずに壁と床だけで構成する壁式構造の場合、垂れ壁が発生する可能性が高いです。壁の量を増やすことで建物の強度を確保するため、「壁梁」と呼ばれる垂れ壁のような構造部材が発生します。壁梁は荷重負担を想定して作られるため、構造上必要な部材となり、取り除くことができません。
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垂れ壁の種類
つぎに、垂れ壁の種類をご紹介していきます。どの空間に、どの種類の垂れ壁が合うのかを事前に把握することで、スムーズに打ち合わせを進めることができます。
垂れ壁(ストレートタイプ)
キリッと空間を区切ってくれるストレートタイプの垂れ壁。ランドリールームや玄関だけでなく、WICやキッチンなど幅広く使うことができます。
【画像の施工事例はコチラ】
三角壁
あまり見かけない三角型の垂れ壁は、モダンな印象の住まいにぴったり。また、三角形の角度を変えることで空間の雰囲気が大きく変わります。
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アーチ壁(R垂れ壁)
丸みのあるアーチ型は、チュラルでやわらかい印象に仕上げたい時に最適。北欧系やナチュラルなデザインが好みの方には特におすすめです。
【画像の施工事例はコチラ】
垂れ壁の豆知識!
垂れ壁はパントリーやシューズインクローゼット、和室、階段などの収納スペースや、空間のつながりを意識しつつおこもり感を演出したい時に用いられることが多いです。ただし、階段に垂れ壁を設計する場合は注意しましょう。筆者の自宅はストレート階段に垂れ壁が設計されていますが、身長によっては昇降時に頭をぶつけます。それが小さなストレスとして蓄積されていくので、設計段階で考慮しましょう。
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垂れ壁のメリット
ここでは垂れ壁を取り入れることで生まれるメリットをご紹介いたします。
メリット空間を緩やかに区切る
間仕切り壁とは異なり、空間を緩やかに区切ることができます。また、垂れ壁にロールスクリーンを設置すれば突然の来客時でも安心です。筆者の自宅ではパントリーの垂れ壁にロールスクリーンを設置しています。必要な時だけスクリーンを下げて、普段は開けっぱなしなので使い勝手抜群です。
ドアを設けないことで風通しが良くなる
建具を無くせば風の通り道も確保できます。特に、収納スペースや水回りは湿気や空気が籠りやすくカビが生えやすいので、空気の通り道ができる垂れ壁がおすすめです。
デザイン性が高くなる
垂れ壁のデザインや照明計画を充実させることで、空間自体に立体感や奥行きを持たせることができます。たとえば、間接照明を取り入れることで、落ち着いた高級感のある雰囲気を演出できます。
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垂れ壁のデメリット
ここでは、垂れ壁を採用するにあたり、考慮しなければならないデメリットをご紹介いたします。
デメリット採光に影響が出る可能性
大き目の開口部(南側の大窓など)の近くに垂れ壁を設計してしまうと採光に影響することも。太陽の光が入らず、日中でも暗い部屋になってしまいます。
デザインによっては内装に合わない場合がある
前途したように垂れ壁には、三角壁やアーチ壁といったデザイン性を重視したものもあります。その他、構造によってはより複雑なデザインも可能になりますが、内装によっては垂れ壁のデザインが合わない場合もあります。また、今後部屋の雰囲気を変えたいと思っても、垂れ壁はすぐに取り除くことができないため、空間をイメージしながら打ち合わせを進めることが大切です。
アーチ垂れ壁の場合クロス剥がれが起きやすい
アーチ壁は曲線のため、クロスと石膏ボードを密着させることが難しく、後から剥がれが起きやすいです。初めのうちは何ともなくても、しばらくしてから剥がれやめくれに気づくこともあります。対策として、クロスではなく「塗り壁」にする方法があります。綺麗に仕上がることはもちろん、手塗りの味わいのある表面が空間を穏やかに演出してくれます。
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おすすめ事例① フレンチカントリー風の可愛らしいアーチ壁
洗面部分に垂れ壁を設計し、照明やクロス、小物などを工夫したことでフレンチカントリー風の可愛らしいデザインに。この一画だけ特別な空間だという印象を与えてくれます。 -
おすすめ事例② 奥行が出るよう斜めに設計したアーチ壁
奥行が出るよう斜めに設計したアーチ壁。リビングの奥にもうひとつ部屋があるように錯覚させてくれます。空間全体の印象も単調にならず、デザイン性がアップする効果もあります。 -
おすすめ事例③ お店のディスプレイを思わせるシューズインクローゼットのアーチ壁
シューズインクローゼットの入り口部分をアーチ壁に設計することで、まるでお店のディスプレイのような印象に。また、周りのクロスをアクセントになるパープルにしたのもポイント。一目見た時に特別感のある空間になりました。 -
おすすめ事例④ 個室感がありつつ動線も完璧な三角垂れ壁
ミセスルームの入り口を三角垂れ壁にしたことで個室感を演出。ドアが無くてもLDKと緩く空間を区切ることができます。キッチンやパントリーからも近く、家事の合間に身支度を行うことができる便利な動線となっています。 -
おすすめ事例⑤ リビング続きの洗面台でもおこもり感のある三角垂れ壁
LDKと隣接する洗面台スペース。ドアを無くしたことでキッチンと洗面台の行き来が楽になります。また、洗面台の入り口には三角垂れ壁を設けることでおこもり感を演出。洗面やお化粧など、視線が気になりません。 -
おすすめ事例⑥ 直線的なシルエットがかっこいい台形垂れ壁
畳スペースの入り口に台形の垂れ壁を設計したお住まい。めずらしいシルエットのため人目を惹くのはもちろん、スタイリッシュな印象を与えるお洒落な空間に仕上がりました。 -
おすすめ事例⑦ ロールスクリーンで空間を区切る垂れ壁
ロールスクリーンを隠せることも垂れ壁のメリット。普段は開けっ放しにしておけば動線がより効率化され、来客時にはスクリーンを下げればすっきりと見せることができます。
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垂れ壁の導入を成功させるためのチェックポイント
最後に、垂れ壁の導入を成功させるためにのチェックポイントの紹介です。事前にしっかり確認して後悔しない空間に仕上げていきましょう。
■デザインのバランスを考慮する
家は長く住み続ける場所です。住んでいく中で空間のイメージを変えたいと思っても、そのイメージと垂れ壁がマッチしないこともあります。また、新築時に垂れ壁を耐震強度を目的として導入した場合は撤去できないので気を付けましょう。
■寸法に気を付ける
個室感を演出できる垂れ壁ですが、強調するために垂れ壁部分を長く設計すると、その分出入りが大変になることもあります。また、三角垂れ壁の場合、三角形の角度によって受ける印象も違ってくるので注意しましょう。
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まとめ
今回は垂れ壁についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
住まいづくりにおいて邪険にされがちな垂れ壁ですが、工夫次第でお洒落なデザインにすることもできます。
取り入れる場合は、自分が理想としている空間をイメージしながら、ご紹介したポイントをもとに検討してみましょう。
HOLIDAYSではお客様のご要望をお伺いした上で、より良いご提案になるよう心がけています。
「こんな空間にしたいな」や「こんなデザインって出来るのかな?」といったご希望がございましたら、是非一度お問い合わせください。