【実例21選】ニッチ収納のメリットデメリットは?おすすめ設置場所と13のアイデア
2025年06月07日
2025年06月20日

壁にくぼみをつけることでちょっとしたスペースを有効活用して、おしゃれな収納やディスプレイが楽しめる「ニッチ」。
ニッチは壁の一部に空間をつくることで、照明などのスイッチをまとめて配置したり、玄関のスリッパ置き場として設置したりと多目的に使用できます。
このコラムでは、ニッチ収納のメリット・デメリットをはじめ、おすすめの設置場所を実際にHOLIDAYSで施工した事例を通してご紹介します。
見た目のおしゃれさと実用性を両立させた空間づくりのポイントがまとめられているのでぜひ家づくりの参考にしてみてください。
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■ニッチ収納とは?その魅力と基本知識
そもそもニッチ収納とは?
「ニッチ(niche)」とは、壁に施されたくぼみのことを指します。
もともとは建築用語で、古代ローマの建物などでよく見られる「壁面のくぼみに飾り棚や像を置くスペース」のことを意味していました。
現代の住宅では、収納や装飾のための実用的なスペースとして活用されることが多く、収納棚やインテリアのアクセント、ディスプレイ空間としても人気になっています。
大きな家具を置かなくてもすっきりと収納や装飾ができ、空間をおしゃれに演出してくれるのが魅力のひとつです。
効率的にスペース活用できるため、限られたスペースになりがちな玄関・トイレ・洗面所にも最適です。
ニッチに最適なサイズとは?
ニッチ収納の魅力のひとつとして、その「サイズの柔軟さ」があります。収納したいものや設置する場所に合わせて、自由自在にサイズを調整できるのが特長です。
ニッチには下記のようなサイズバリエーションがあります。目的に応じてどのサイズが自分に合うのか検討する際に参考にしてみてください。
●ミニニッチ(幅10〜20cm・高さ10〜30cm程度)
手のひらほどのコンパクトなサイズ。スイッチ周りや小物や鍵置き場として玄関周りにおすすめです。壁紙や間接照明と組み合わせれば、おしゃれなアクセントにもなります。
●スタンダードニッチ(幅30〜50cm・高さ30〜60cm程度)
最も使い勝手が良いサイズ。トイレットペーパーや洗面周りのストック収納、写真や雑貨のディスプレイスペースとして重宝されます。壁面奥行きを活かして実用性とデザイン性を両立できるのが魅力です。
●ラージニッチ(幅60cm〜・高さ1m以上)
大容量の収納や本棚、TVボードと一体になった壁面収納などに適したサイズ。LDKや廊下など広めの空間で、見せる収納として存在感を発揮します。サイズが大きい分、構造や耐荷重の確認が必要になる場合があるので設計段階で相談しておくと安心です。 -
■ ニッチのメリット
収納として使用できる
ちょっとした小物や日用品を収納できるのがニッチの魅力です。洗面所や玄関など、限られたスペースでも壁の厚みを活かして収納スペースを確保することができます。
飾りを楽しむことができる
ニッチはお気に入りの雑貨やアートなどを飾る場所としても大活躍します。気分や季節によってアイテムを変えることで、お部屋の雰囲気も手軽に変えることができます。
空間のアクセントになる
壁面に立体感を与えることで、空間全体の印象にアクセントが加えられます。クロスや照明を工夫したり、おしゃれな小物や絵を飾ることで、インテリアの一部のような仕上がりになります。
スペースを有効活用できる
「家具を置くと通路や部屋が狭くなる…」と悩みがちな場所でも、ニッチなら壁の中に収まるので邪魔になりません。限られた空間でも、無駄なく収納や装飾ができるのが大きな魅力です。
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■ニッチのデメリット
コストがかかる
ニッチは壁を一部くり抜くなどの工事が必要になるため、通常の壁よりも手間とコストがかかります。特に下地や構造に配慮が必要な場所では、追加費用が発生することもあるため、事前の相談が大切です。
<対策>
・設計の初期段階でニッチの位置やサイズを決めることで、追加工事を抑えることができる。
・シンプルなデザインや既製の棚板を使用することで、コストの削減が可能。
設置場所が限られる
どこにでも作れるわけではなく、構造上の制約や壁の厚みによって、設置できる場所が限られます。特に柱や配管が通っている場所では設置が難しいです。間取り設計の早い段階から検討しておくことで、希望の位置に取り入れやすくなります。
<対策>
・間取りの打ち合わせ段階で設計士に相談し、設置可能な壁を事前に確認しておく。
・構造に影響の少ない「キッチンカウンター下」や「廊下の壁面」などを選ぶのも1つの方法。
移動できない
一度設置すると、棚の高さや位置の変更、取り外しが簡単にできないのがニッチの特徴です。使用方法の変化に対応するのが難しいので、設置前に用途を確認しておくことが大切です。
<対策>
・将来的な使い方を想定した上で、汎用性のあるデザインにすると柔軟性を高めることができる。
・何を置くかを具体的にイメージして設計する。
ほこりが溜まりやすい
奥行きがあるため、物を置いていなくてもほこりがたまりやすい傾向があります。特に飾り棚として使う場合は、定期的な掃除を意識すると清潔な空間をキープできます。
<対策>
・掃除しやすい材質を選ぶ(ステンレス、タイル、塗装面など)。
・照明やガラス扉を取り付けてホコリの侵入を防ぐ工夫をする。 -
■ニッチのおすすめ設置場所と13のアイデア
玄関
◆スリッパニッチ
「スリッパニッチ」とは、玄関横の壁に設けたスリッパ専用の収納スペース。来客用や家族用のスリッパをスマートに収納でき、玄関まわりをすっきりと見せてくれます。出し入れがしやすく、見た目もおしゃれなため、機能性とデザイン性が両立された収納です。
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◆おかえりニッチ
玄関に設けた「おかえりニッチ」は、季節ごとの小物やお気に入りの雑貨を飾るのにぴったりのスペース。帰宅したときにパッと目に入るちょっとしたディスプレイコーナーとして、家族や来客をやさしく迎えてくれ、空間のアクセントとしての役割も果たしてくれます。
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洗面台
◆洗面横ニッチ
歯ブラシやハンドソープ、スキンケア用品などをスッキリと収納するのに便利な洗面台横に設けられたニッチ。洗面台まわりがごちゃつかず、見た目も清潔感のある空間になります。お気に入りのボトルやディフューザーを並べれば、普段の生活にちょっとした癒しも加えることもできます。
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キッチン
◆調味料ニッチ
調理中に使いたい調味料をスッキリと収納できる「調味料ニッチ」。キッチンの壁面に埋め込むことで、作業スペースを邪魔せず効率よく料理ができるのが魅力です。使いやすさはもちろん、おしゃれなボトルを並べて見せる収納としても活躍してくれます。
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◆擁壁ニッチ
キッチンの腰壁に設けたニッチは、家族の目にも触れやすく、収納とディスプレイの両方に活躍する便利なスペース。ティッシュなどをすぐに取り出せる実用性だけでなく、季節の雑貨や小物を飾ることで空間に温かみと個性をプラスできます。暮らしの中で自然に目に入る位置だからこそ自分の好みでアレンジして楽しむことができます。
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ダイニング
◆ダイニングニッチ
ダイニングに設けたニッチは、ちょっとした収納やディスプレイに最適なスペース。ティッシュケースや時計など日常でよく使うものをまとめて置けるので、テーブルの上がスッキリ整います。季節の雑貨や写真を飾れば、食卓に温かみと彩りを添えるアクセントにもなります。
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リビング
◆リモコンニッチ
壁面に設けたリモコンニッチは、エアコンや照明、床暖房などの操作パネルをひとまとめに収納できる便利なスペースです。ごちゃつきがちなリモコン類をまとめて整理することで見た目が整い、空間全体のまとまりが引き立ちます。また、操作のしやすさも考慮した位置に設置すれば、使い勝手もよくなります。
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◆本棚ニッチ
「本棚ニッチ」は、スペースを有効活用しながらも収納力があり、空間にアクセントを加える人気な収納方法です。お気に入りの本や雑誌を飾るように収納できるため、見せる収納としても楽しめます。またリビングや廊下、キッチン横など場所を選ばず取り入れることができます。
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◆マグネットニッチ
マグネットボードを組み込んだ「マグネットニッチ」は、家族の連絡スペースや掲示板として便利なアイテムです。メモや鍵などをマグネットで簡単に貼り付けられるため、散らかりがちな小物もすっきり整理できます。玄関やキッチン周辺、家事動線上に設けると、日常のちょっとした情報管理に役立つ実用的なニッチです。
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◆テレビボードニッチ
テレビボードに取り付けられた「テレビボードニッチ」は、DVDデッキ類をスッキリとまとめられる収納スペースです。配線や周辺機器を隠して収納できるため、生活感を抑えたおしゃれな空間に仕上がります。また壁と一体化するデザインにすることで、お部屋全体の統一感を高める効果もあります。
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トイレ
◆トイレットペーパーニッチ
トイレットペーパーやちょっとした小物をスマートに収納できる「トイレットペーパーニッチ」。限られたスペースの中でも圧迫感を与えず、必要なときにすぐに取り出せる実用性も魅力的です。また壁にすっきりと収まるデザインにすることで、生活感を抑えつつおしゃれな空間を作ることができます。
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階段
◆ギャラリーニッチ
家族写真やアートを飾るための「ギャラリーニッチ」。階段や玄関ホール、廊下などちょっとしたスペースに設けることで、寂しくなりがちな場所も華やかな仕上がりにしてくれます。壁から出っ張らずに設置できるため、すっきりした空間を保ちながらもお気に入りのアイテムをさりげなく飾ることができます。
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寝室
◆枕元ニッチ
寝室の枕元に設置されたニッチ。スマホや眼鏡、本などの「ちょい置き」にぴったりです。
サイドテーブルがなくてもすっきり収納できるので、空間を無駄なく使えます。
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■ニッチ収納で失敗しないための3つ注意点
①必要性や用途を考えてから作る
ニッチ収納は「おしゃれだから」となんとなく作ってしまうと、後から「何を置けばいいのかわからない」「結局使わなくなってしまった」というケースも少なくありません。
例えば、玄関にスリッパを並べたいのか、鍵や小物を置きたいのかで、必要な大きさや形状が変わってきます。また、リビングならインテリアを飾るスペースとして、洗面所なら化粧品やタオルを置く収納として使うなど、使い方に応じて設計することが大切です。
事前に【どこに】【何を】収納したいのかを明確にしてから設置すると、実用性とデザイン性の両方を兼ね備えた素敵なニッチになるでしょう。
②設置する場所やサイズに注意する
ニッチ収納を設ける際に特に気を付けたいのが「場所」と「サイズ」です。設置場所によっては、壁の中にある柱や配管などにより、希望する位置に作れないこともあります。また、サイズに関しても、収納したいものに対して小さすぎたり、逆に大きすぎて空間のバランスを崩してしまうことがあるため注意が必要です。具体的なサイズの目安を下記にまとめました。
飾り棚 幅:30cm、高さ:30~45cm程度が一般的 収納棚 奥行き:10~15cm、幅:収納する物の数に合わせて調整 玄関ニッチ 奥行き:10~15cm、幅:80cm程度、高さ:50cm程度
設置前に実際の動線や視界、収納したいものをイメージしながら決めることで、使いやすく空間にマッチしたニッチ収納を叶えることができます。
③作りすぎない
ニッチ収納はおしゃれで便利であるという魅力から、つい「あちこちに作りすぎてしまった」というケースも少なくありません。しかし、あまりに数を増やしすぎると空間全体の統一感が失われ、かえって雑然とした印象になってしまうこともこともあります。また、使い道のないニッチが増えることで「無駄なスペース」となってしまい、掃除や管理の手間が増える原因にもなります。目的に合わせて必要最小限の数にとどめることで、空間全体のバランスを保ちつつ、ニッチの魅力を引き立てることができます。
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■まとめ
今回は、ニッチ収納のメリット・デメリットやおすすめの設置場所、そしておしゃれに暮らしを彩る13のアイデアをご紹介しました。
限られたスペースを有効活用しながら、見せる収納としても楽しめるニッチは、住まいの満足度を高めてくれます。
設置場所や使い方によって印象が変わるからこそ、自分たちの暮らしに合ったスタイルで取り入れてみてはいかがでしょうか。
HOLIDAYSでは、理想の住まいに合わせた空間提案やデザイン設計を行っています。
「こんな風に使いたい」「ここにニッチを作りたい」といったご要望にも丁寧にお応えいたしますので、お気軽にご相談ください。