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2025年11月27日
「玄関土間」と聞くと、昔ながらの空間をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
しかし昨今、土間は単なる出入り口ではなく、家全体のデザイン性を高め、日々の生活をより快適に過ごすための「多機能空間」として注目されています。
今回のコラムでは玄関土間のメリット・デメリットをはじめ、おしゃれな土間空間を作るためのアイデアや間取りの工夫ポイントなどを実例と共に紹介していきます。
CONTENTS
「玄関土間」とは、室内でありながら靴を履いたまま利用できる、玄関の広い土足空間のことです。
日本の伝統的な家屋において、居室が裸足で生活する空間であったのに対し、土間は土足で作業ができる空間でした。具体的には、炊事をするためのかまどを置いたり、農作業や漁の道具を手入れしたり、雨天時に作業を行ったりと、生活の中心となる作業場として非常に重要な役割を果たしてきました。
このように歴史のある「玄関土間」ですが、現代の住宅においても多目的に利用できる自由な空間として注目されています。
そして、玄関土間の活用方法としておすすめしたいのが「土間収納」。土間の収納タイプには以下のように様々な種類があります。
| 壁面クローゼットタイプ | 浅い奥行きで壁面に棚を設けた、クローゼットタイプの収納です。土間収納の中では最も一般的で、現代の住宅に取り入れやすく、玄関に使える面積が限られている場合に重宝します。 |
|---|---|
| ウォークインクローゼットタイプ | 壁で仕切られ、独立した部屋のようになっている収納です。天井までの空間全体を活用できる上に、棚などを効率的に配置できるため、床面積に対して収納量を確保しやすい特徴があります。また、防災グッズや自転車など、靴以外にも様々なものを収納できます。 |
| ウォークスルークローゼットタイプ | 出入り口が2つあり、「通り抜けられる通路」として機能している収納です。回遊性が高まり、家事の負担を軽減する効果があります。収納量と家事動線を重視したい方におすすめです。 |
玄関土間には、日々の暮らしをより快適に過ごすことができる色々なメリットがあります。
ここでは、思わず取り入れたくなる玄関土間の魅力を具体的な活用方法とともにご紹介します。
スーパーから帰宅してすぐに、食料品や日用品を一時的に保管できるため、運ぶ手間を大幅に削減できます。特に、飲料ケースや米など、重たくてかさばるものをパントリーやキッチンまで運ぶ必要がありません。また、居住スペースよりも比較的涼しいので、すぐに冷蔵庫に入れる必要のない野菜類や、災害備蓄品の保管場所としてもおすすめです。
釣りやキャンプなどのアウトドア用品やスポーツ用品など、趣味の道具を保管しておくのに便利です。また、家具やインテリアをDIYで制作したり、自転車が趣味ならロードバイクのメンテナンスも時間を問わず行うことができます。土間を専用の作業スペースとして活用することで、居住空間を清潔に保ちつつ、趣味の時間を充実させることが可能です。
部屋だと気になる汚れも土間なら水拭きなどで簡単にお手入れできるので、子どもが思い切り遊べる上に、親も安心して見守ることができます。また、天気が悪い日でも、土間にある程度の広さがあれば三輪車やボール遊びといった体を動かす遊びも可能です。
魅力的な玄関土間ですが、しっかりと計画せずに取り入れると、後々後悔してしまうことも…。
ここでは、玄関土間を設ける際の主なデメリットと、後悔しないための対策についてご紹介します。
土間空間を広く取ると、その分リビングやダイニングなどの居住スペースが狭くなる可能性があるため、家全体のバランスを考慮して丁度いい広さを検討する必要があります。
何をどれくらい収納し、どんな作業をするのかを事前に把握し、用途に合わせて適切な広さを見極めることが重要です。また、可動式の間仕切りを設けることで、必要に応じてリビングと土間空間を統合して使用することも可能です。
土間に使用されるコンクリートやタイルなどは熱を通しにくく、基礎や床下を通じて地面の冷たさが直接室内に伝わるため、寒さを感じやすいです。また、結露や湿気によるカビの発生にも注意が必要です。
床下に断熱材を施工したり、土間と居室の間に断熱性の高い建具を設けたりして冷気の侵入を防ぐことができます。また、湿気対策として、換気扇や窓を設置し空気の流れを確保しましょう。
濡れたキャンプ用品、泥のついたスポーツ用品、ペット用品などを保管することで、土間特有のニオイがこもりやすく、室内にまで流れ込んでしまうリスクがあります。
換気口や小窓を設けて積極的に空気の入れ替えを行いましょう。また、匂いがつきにくいタイル仕上げを選ぶ、あるいは珪藻土や漆喰など消臭機能のある壁材を取り入れることも有効です。
土間用の床材には様々なバリエーションがあり、どれを採用するかで印象が変わってきます。ここでは代表的な3種類をご紹介します。
●タイル
大きさや色、模様だけでなく、木調や石調など多様な種類があるタイル。選択次第で、和から洋までお好みの空間を作り上げることができます。
●コンクリート
セメント、砂、砂利、水で作られたコンクリートは無機質で独特な質感に仕上がります。クールでシンプルな印象に仕上げたい方におすすめです。
●モルタル
セメント、砂、水で作られたモルタルはコンクリートよりも滑らかな印象に仕上がります。表面を平らに仕上げる「金鏝仕上げ」と、敢えて凹凸を出す「洗い出し」があるので、好みに合わせて使い分けてみましょう。
ただ空間を照らすだけではなく、種類や配置を考慮することで雰囲気もがらりと変わります。
●スポットライト
意図的に照らしたい場所がある場合に便利なスポットライト。壁や天井に向ければ、緩やかな光で広範囲を照らすことができます。
●ダウンライト
天井に埋め込むタイプの証明器具です。天井に凹凸ができないのですっきりした印象に仕上がります。ただし、一度設置したら変更が難しいので配置計画には注意しましょう。
●間接照明
光源が直接目に入らない設計の間接照明。まぶしさを抑えるだけでなく、壁や天井を間接的に照らし空間を明るくするため、落ち着いた雰囲気を演出できます。また、空間の手前から奥に向けて設置すれば奥行き感が生まれ、一層おしゃれな雰囲気を作り出すことができます。
家の中と外をつなぐ土間に観葉植物を置けば、最初に植物に目が入るため玄関が明るく華やかな印象になります。ただし、土間は風通しや日当たりが悪くなりがちなので寒い場所や日陰でも育ちやすい植物がおすすめです。
●パキラ
5枚の葉が特徴の観葉植物。日陰でも育ちやすく水やりも控えめで大丈夫なので室内でも育ちやすいです。定期的に日光に当てれば葉にツヤが生まれるので一層美しさが増します。ただ、温度が5度以下になると枯れてしまうため、冬場の空調には注意しましょう。
●カポック
寒さや乾燥に強く日陰でも育つため、土間で育てやすい植物です。風水的には上に向かって葉が生える「陽の気」を持つ植物なので、気の出入り口である玄関に置くことで家全体の開運に繋がっていきます。
●ガジュマル
個性的なシルエットのガジュマルは精霊が宿る木と呼ばれています。風水的にも悪い気を鎮めて中和し、良い気が入りやすい状態を作り出す効果があります。耐陰性もあるため、土間でも育てやすく人気を集めています。
土間にも窓を設置することで、換気や採光のためだけでなく、おしゃれな空間も演出できます。どのようなタイプの窓がおすすめなのかを実例とともにご紹介します。
床面に接した低い位置にある「地窓」。カーテンが無くても外からの視線が気にならず、足元から差し込む自然光は床面に反射して空間全体を明るく照らしてくれます。

天井に近い位置に取り付ける「高窓」。プライバシーが守られるだけでなく、部屋の奥まで光が届くので効率的に採光が取れます。

天井から床の近くまで開口部のある「縦スリット窓」。天井と床の距離が実際よりも長く見えやすいため、空間自体を広く見せることができます。

土間収納は、工夫次第で見た目も使い勝手も良くなります。
ここでは、おすすめの収納アイデア3つをご紹介するので是非参考にしてみてください。
高さや場所を自在に変えられるため、ライフスタイルの変化に合わせた収納空間を作ることが可能です。シューズラックとしてはもちろん、使用頻度が少ないものも整理して収納することができます。

この事例:わんちゃんと一緒に過ごす「ナチュラル」×「和」のお住まい
何があるのか一目で分かる有孔ボードは、鍵や工具などを掛けておけるのに加え、おしゃれな道具を”見せる収納”として飾ることもできます。また、デッドスペースになりがちな壁全体を収納スペースとして活用できるのも魅力です。

この事例:吹き抜けのキャットウォークが印象的なスパニッシュテイストの家
玄関土間と階段が隣接する場合、階段下スペースを収納にすることで、家の限られた空間を最大限に活用できます。また、階段下収納は奥まって配置されることが多いため、来客時には視線を遮断でき玄関周りの生活感を隠すこともできます。

この事例:全館空調で玄関土間とリビングが繋がる開放的な住まい

玄関土間は間取りにも工夫を凝らすことでより使いやすくなります。
HOLIDAYSで施工した事例4つをもとに、土間収納を取り入れる際に併せて検討したい間取りポイントを解説していきます。
「買い物から帰ってきたら土間からキッチンにそのまま行く」、「リビングから玄関ホールを通らず直接靴を履く」など、土間収納とLDKをつなげることで移動距離が短くなり、日常生活を楽に送ることができます。

この事例:眺望を愉しむ、シンプルな和モダンハウス
趣味で使う道具の収納やメンテナンス、DIY作業などのスペースとしても活用が可能です。スペースを作る際は、家全体のバランスを考慮して作業できる広さを確保しましょう。土間の床材は基本的にお手入れしやすい素材でできているので、居室空間だと汚れが気になってできないことも、土間なら気兼ねなく行うことができます。

この事例:吹き抜けと大開口窓から自然が愉しめるスモーキーカラーの家
収納スペースは通常、扉などを設けて「見せない」収納にすることが多いです。しかし、靴や趣味の道具をディスプレイできる配置にし、敢えて「魅せる収納」とすることで、玄関全体のデザイン性を高めることができます。

LDKと土間をよく行き来するなら、壁や扉をなくしてしまうのも一つの方法です。壁や扉をなくすことで、その分廊下が必要なくなり、限られた空間を有効活用することができます。また、来客時など一時的に目隠しをしたい時には、ロールスクリーンやカーテンを取り入れると、簡単かつリーズナブルに空間を仕切ることができます。



玄関土間は、「家事の効率化」「便利な収納」「趣味のスペース」など、ご家庭のライフスタイルに合わせて様々な活用方法があります。
間取りや収納方法を工夫すれば、”靴を脱ぐ場所”としてだけでなく、日々の暮らしをより快適に過ごすための空間にもなり、そのバリエーションは無限大です。
そして、長く快適に使える玄関土間を実現するには、デザイン性と実用性を両立させるための計画が大切です。
「理想の玄関土間をつくりたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
知識豊富な専門スタッフが、ご希望に合わせて最適な収納計画や設計をご提案いたします。
愛知県を中心に岐阜県、三重県、静岡県で注文住宅を手がけるHOLIDAYSでは、「デザインも性能も諦めたくない」そんなお客様の想いをカタチにします。耐震性能の最高等級3、断熱性能UA値0.46以下の高断熱を標準としつつ、建築デザイナーがお客様の趣味やライフスタイルを反映したプランをご提案。土地探しからワンストップで対応し、後悔しない家づくりをトータルでサポートします。