窓の結露の原因とは?そのメカニズムと対策方法8選をご紹介|住宅設計の上で重要なポイントも解説します
2024年05月27日
2024年06月13日
寒い時期や、涼しい朝など、朝起きてカーテンを開けると窓ガラスに発生している水滴。皆さんも見たことありませんか?
結露というと冬の寒い時期に発生するイメージがあるかもしれませんが、実は梅雨の時期や真夏のクーラーの良く効いた部屋でも発生するんです。
放置するとカビの原因にもなるため、早めに対処したいものですよね。
そこで今回は結露ができる原因と対策、結露ができにくい家をつくるための住宅設計時の注意ポイントについても紹介します。
是非最後までご覧ください。
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窓の結露が発生する原因
*POINT*
窓に結露が発生する主な原因は、①湿度の高さと②気温差の2点です。
以下では詳しい理由と、結露が発生しやすい場所について解説します。
〇結露のメカニズム
空気は温度によって、含むことができる水分量が異なります。1㎤の空間に存在できる水分量を表したものを飽和水蒸気量と言い、温度が低くなるにつれて飽和水蒸気量も減少します。
そのため水分を多く含んだ温かい空気が冷たい空気に触れると、気体として存在できる限界量をオーバーし、含みきれなくなった水分が気体から液体へと変化するのです。
〇窓の結露ができる理由
これを窓の結露で説明すると、まず雨の日や室内干しなどにより湿度が上がることで、室内にはギリギリ気体として保っている水分がある状態になります。
その空気が、外気温で冷やされた窓に触れることで気体として存在できなくなった水分が結露として窓に発生するのです。
冬はイメージしやすいかもしれませんが、湿度の高さと気温差の条件が揃うと夏でも結露が発生します。
【結露が発生しやすい場所】
場所
理由
窓ガラス・サッシ部
外気の影響を受けやすい
玄関
外気の影響を受けやすい
北側の部屋
太陽が当たりづらく、外との温度差を大きくなりやすい
家具の裏
壁側に寄せていると通気性が悪く湿気がたまりやすい
押し入れ
閉め切っていると空気が循環しづらく湿気がたまりやすい
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結露による被害
■カビやダニが発生する
結露を放っておくと、湿気でカビが発生し、カビをエサにするダニなどの虫が集まってきます。
カビや虫の死骸、ふんはアレルギー反応の原因にもなり、人が吸い込むことで、シックハウス症候群やアレルギー性皮膚炎などの症状を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
■建物が劣化する
結露がひどいと、建物を支える構造部分にまで水が染み込み、木材の腐食に繋がることもあります。柱や土台が腐ると、家の耐久性や耐震性を低下させる要因に…。また、湿った木材はシロアリが好むため、シロアリ被害が発生するケースにも繋がってしまいます。
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結露を防ぐための日常的な対策6選
*POINT*
以下で詳しく解説しますが、結果的に大切なのは
・温度差を作らない
・湿気を減らす
・換気をして空気を循環させる
の3点です。これらを意識することで、ある程度結露を防ぐことができます。
■こまめに換気を行う
換気をすると、外の乾いた空気を室内に取り込むことができ、室内の湿気を減らせます。
湿気が結露の大きな原因となるので、換気は結露対策として、とても簡単でおすすめです。
特に、料理中や部屋干し中、お風呂を使用した後は湿度が高くなるので、換気扇を回すことをおすすめします。
■外との気温差を小さくする
露点温度表より算出すると、湿度50%の時、気温差10℃で結露が発生するという計算になります。夏でも冬でも湿度50%前後が快適とされているため、室内外で10℃程度の気温差があると結露に注意するといいでしょう。
冬は外気温が低い時に暖房つけると結露になりやすいというイメージがあるかと思いますが、夏でもエアコンなどで室温を下げ過ぎないことが重要です。
■除湿を行う
除湿器や除湿剤を使用し、結露のもととなる湿気そのものを取り除くのも効果があります。湿気は下の方に溜まりやすいため、除湿器や除湿剤は台の上などに置かず、床に直接置くようにしましょう。また除湿器には通気口と排気口があるため、これらを塞がないよう部屋の中央に設置するとより効果的です。
■室内の空気の通りを良くする
先ほど、結露対策には換気をすることが簡単でおすすめな方法とご紹介しましたが、室内の一定の場所ではそもそも空気の通りが悪く、湿気が溜まりやすくなっている場所があります。例えば、家具の裏側や押入れなどです。
家具はできるだけ壁に近づけ過ぎないようにしたり、押し入れやクローゼットなど扉付きの収納は閉め切ったままにしないなど、湿気が溜まらないよう注意しましょう。
また、サーキュレーターを窓周辺に向けて置くと、停滞している空気を循環させることができるので結露対策に効果的です。
換気をする際はもちろん、普段から空気の流れができるよう意識することが大切です。
■「非開放型」、もしくは電気式の暖房器具を使用する
結露を防ぐには、「非開放型」と呼ばれる排気を外に逃がすタイプの暖房器具、もしくはオイルヒーターや、ハロゲンヒーター、エアコンなど、電気式の暖房器具を使用することをおすすめします。
というのも、ガスや石油を使ったストーブ、ファンヒーターは使用する際に多くの水分を発生させます。例えば石油ストーブの場合、石油1ℓを燃焼させるのに1ℓの水分を放出するそうです。これだけの水分量が室内に発生すれば、結露の原因である湿気が増えることになりますね。そこで「非開放型」、もしくは電気式の暖房器具を使用することで、湿気の増加を防ぐことができます。
■市販の結露対策・防止グッズを使用する
❶結露吸水テープ
窓の下部に貼り付けると結露を給水し、窓枠や床に水が垂れるのを防いでくれます。
【注意点】長期間同じ結露吸水テープを張り続けていると、テープ自体がカビてしまい、効果が薄まってしまうので、定期的な交換が必要です。
❷結露防止シート
窓に貼るだけで室内外の温度差を少なくし、結露を防止してくれます。
【注意点】凹凸のある窓ガラスには貼れなかったり、中にワイヤーの入った網入りガラスでは部分的な温度差によって割れてしまう「熱割れ」を起こす可能性があるため注意しましょう。
❸結露防止スプレー
スプレーを振りかけることでできる薄い膜が、水分を弾いたり吸収してくれるため、ガラス面にできる結露を防止してくれます。結露防止シートとは異なり、凹凸のあるガラスにも使用できることがメリットです。
【注意点】界面活性剤が入っているため、誤ってなめてしまう恐れのある小さなお子様やペットがいる家庭は、使用する範囲に注意が必要です。 -
結露を防ぐための住宅設備での対策2選
住宅設備を整えることで、日常的に何度も対策を行う必要性が少なくなる場合もあります。
本章では、そんな住宅設備でできる対策2選とおおまかな設置費用をご紹介します。
■二重窓を導入する
前述したように、結露は水蒸気を含んだ暖かい空気が、冷たい窓ガラスで冷やされて、水滴となって現れる現象です。
そのため、室内の湿度が高く、室内と室外の気温差が激しいときに生じやすくなります。
二重窓が結露対策に有効なのは、窓を二重にすることで外側のガラスと内側のガラスの間に空気の層をつくり、外の冷たい温度を室内に伝えにくくしてくれるからです。
しかし、二重窓にしたからといって絶対に結露ができないという訳ではありません。
ガラスの種類や気密性の程度などによっては結露が発生することもあります。
導入する際は素材や住宅性能まで考えることが重要です。
【設置にかかる費用】
1か所約8万円~20万円程度
※窓ガラスの種類や大きさによって金額に差があります。
■シーリングファンで空気を循環させる
扇風機やサーキュレーターから出る直接的な風とは異なり、天井につけるシーリングファンは部屋全体の空気を撹拌する機能に優れています。
湿気対策には空気を循環させることが重要であるとお伝えしましたが、シーリングファンは一度設置すればスイッチ一つで部屋中の空気を循環できるので、湿気対策にはおすすめの方法です。
また冬場は天井に溜まっている暖かい空気が部屋全体に行き渡るため、暖房効率も高まります。
【設置にかかる費用】
シーリングファンの本体価格:約1万円~10万円
設置費用:約3000円~1万円
天井補強工事:約6万円~8万円※必要な場合のみ
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住宅設計時に注意するべき4つのポイント
■高気密高断熱の家にする
*「高気密・高断熱」とは?
【高気密】外部からの空気の出入りを防ぐため気密性を高めた状態。空気が逃げる隙間がなくなるため、空調の管理がしやすくなります。
【高断熱】断熱材などを用いて外部からの熱の伝わりを少なくした状態。夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。
上記で説明したように、高気密高断熱住宅にすることで屋外の天候や気温変化に影響を受けにくくなり、結露のできにくい家になります。
ただし、どちらかだけを高い性能にしても、それぞれの良さを十分に発揮できないため、気密性・断熱性はどちらも同じくらい重要と考えておいた方が良いでしょう。
また高気密住宅は空気の出入りが少ない分、空気が滞留して入れ替わりにくくなっているため換気が必須になります。この換気については以下で説明する換気システムをぜひ参考にしてみてください。あわせて読みたい
■24時間換気システムを取り入れる
*「24時間換気システム」とは?
窓を開けずに24時間自動的に空気を循環させる仕組み。2時間ですべての部屋の空気が入れ替わるのが目安です。
結露対策には換気をする必要があると説明しましたが、忙しい時や天気の悪い時などは窓を開けての換気が難しいこともありますよね。
そんな時に有効なのが、機械を使って空気を入れ替える24時間換気システムです。2003年に改正された建築基準法では、24時間換気システムの設置が義務化されています。
換気システムには種類がありますが、基本的には給気口と排気口を設置することで、空気の流れを作ります。詳しくは下記コラムでも説明しているので、どの方法が希望にあってるかぜひ確認してみてください。
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■窓の断熱性能を上げる
断熱シートを使用し、断熱性を上げることもできますが、断熱シートよりも効果的な方法は、窓を断熱性能が高いものに交換することです。
具体的に、樹脂製サッシや外側がアルミサッシで室内側が樹脂サッシであるハイブリッドサッシなどがあります。
ハイブリッドサッシは熱を通しにくい特性を持っているので、室内と外気の温度差による結露の発生を大幅に減らすことができます。
結露が発生しにくい窓は、カビなどによる健康被害を防止するだけでなく、木材や壁紙の劣化を防ぐこともできます。
■「窓の配置」で風通しの確保を意識する
風通しを良くすることで湿気が溜まりづらく、結露対策にはおすすめとお伝えしましたが、窓の配置の仕方でも風通しの良さはぐっと変わります。配置場所を検討する際は、ぜひ下記2点を念頭に置いて考えてみてください。
❶2カ所対角線上に窓を配置する
これはイメージしやすいと思いますが、窓は1カ所に設置するよりも、室内に2カ所設置したほうが、風の抜け道ができ風通しが良くなります。
また地域にもよりますが、日本の夏は南寄りの風、冬は北寄りの風が吹くと言われています。そのため南と北の対角線に設置するのがおすすめです。
❸天井の近くに窓を配置する
高い位置に窓があると、空気に流れが生まれ風通しが良くなります。大きな窓を設置する必要はなく、換気用の小窓を設置するだけでも効果的です。また温かい空気は上に溜まる性質があるため、天井付近に窓を設置することで室内の熱を外に逃がしやすいというメリットもあります。 -
まとめ
今回のコラムでは、結露ができる原因や対策について説明してきました。
前述したように結露は放っておくとカビやダニの発生、内部侵食など人や家にとって悪影響を及ぼす可能性があります。
そうならない為に、普段の対策はもちろんですが、今後お家づくりを検討される方には、ぜひ住宅設計の段階から結露対策について考えて頂ければと思います。
実際にご希望の間取りや設備に対してどのような結露対策ができるかは、お家づくりのプロに相談するのが一番です。
HOLIDAYSではお客様一人一人のご相談に寄り添い、お住まいづくりのお手伝いをさせていただきます。
仕様や性能、施工事例などをまとめたカタログ資料を無料でお送りしておりますので、興味を持っていただけた方はぜひお問い合わせくださいませ。