【実例7選からわかる】切妻屋根をおしゃれに見せる7つの法則。設計時の注意点も併せて紹介。
2025年11月25日
2025年11月25日
屋根と聞いて多くの方が思い浮かべるのが山型の屋根ではないでしょうか。これは「切妻屋根」と呼ばれ、日本の住宅で最も馴染みがあり、コストパフォーマンスや機能性にも優れた万能な形です。
一方で、シンプルだからこそ「デザインが普通?」「古臭く見えないか心配…」とデザイン面で不安に感じる方もいるかもしれません。
そこで今回は、切妻屋根を洗練された外観へと引き上げる「7つのデザイン法則」をご紹介します。メリット・デメリットや設計時の注意点もあわせて解説しますので、ぜひ理想の家づくりの参考にしてください。
CONTENTS
- ■「切妻屋根」とは?:日本の住宅で最も愛されるシンプルな形
- ■切妻屋根の5つのメリット
- ■切妻屋根のデメリットと対策方法
- ■切妻屋根を「おしゃれ」に見せる7つのデザイン法則
- 法則1:【素材】で差をつける
- 法則2:【配色】で魅せる
- 法則3:【形状と勾配】で個性を出す
- 法則4:【軒(のき)】のデザイン
- 法則5:【窓の配置】でリズムを生む
- 法則6:【妻飾り・破風(はふ)】のアクセント
- 法則7:【外構(エクステリア)】との調和
- ■【7選】おしゃれな切妻屋根の施工実例集
- 実例①大人かっこいい外観デザインとディテール
- 実例②レンガ調の白壁とダークブラウンの屋根で引き締めた外観
- 実例③ラップサイディングで海外風の外観
- 実例④ガルバとサイディングのアウトドア外観
- 実例⑤塗壁と木目の温かい色使いの外観
- 実例⑥青い屋根とラップサイディングの平屋
- 実例⑦木調軒天とホワイトサイディングが映える
- ■ おしゃれな切妻屋根をつくる際の2つの注意点
- ■まとめ
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■「切妻屋根」とは?:日本の住宅で最も愛されるシンプルな形
切妻屋根とは、屋根の最頂部から2方向に傾斜がついており、まるで本を伏せたような(への字)形をしている屋根を指します。日本の住宅の中で最も多い屋根で、「三角屋根」とも呼ばれます。
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■切妻屋根の5つのメリット
コストを安く抑えられる
切妻屋根は屋根の構造の中でもスタンダードでシンプルなスタイルです。その分、施工期間や施工費が抑えられ、他の屋根と比べて低コストで施工できるのが大きなメリットです。
雨漏りのリスクが低い
頂上から2方向に傾斜があるため、水はけが良く、雨が溜まりにくい構造です。雨漏りの原因となる接合部が頂上の1箇所のみであるため、他の形状の屋根と比べてリスクが低くなります。
メンテナンスがラクにできる
2面で構成されたシンプルな構造であり、継ぎ目が少ないため、使用する部材も少なくて済みます。
屋根裏空間を有効活用できる
ロフトや収納スペースとして活用できます。屋根の形状によって天井に勾配ができるため、屋根裏の配置によっては独特の雰囲気が生まれます。ただし、固定階段の設置やロフトの広さには、建築基準法や自治体の条例による制限があるため(天井高1.4m以下など)、設計時には必ず条件を確認して進める必要があります。
太陽光パネルを設置しやすい
一見、屋根が平らな方が太陽光を浴びやすいと思われがちですが、実は真上よりも傾斜がある方が日光を受けやすく、効率的な発電に繋がります。また、切妻屋根の長方形の屋根面はパネルを自由に配置しやすく、発電効率をさらに高めます。
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■切妻屋根のデメリットと対策方法
妻側の外壁が劣化しやすい
【対策】軒の出を長くする、または劣化しづらい外壁材を使用する
妻とは屋根の軒が出ていない壁側のことです。切妻屋根は2方向のみに軒が出ているため、妻側の壁が雨風から保護されにくく、他の部分よりも外壁が劣化しやすい傾向があります。そのため、デザインの工夫として軒の出を長くしたり、耐久性の高い外壁材を使用するのが効果的です。
デザインが単調になりやすい
【対策】「配色」や「形状」など、デザインの工夫で個性を出す
シンプルな形だからこそ、素材や色にこだわって自分好みの外観に仕上げられます。
令和5年に住宅金融支援機構が行った「【フラット35】住宅仕様実態調査報告」によると、約3~4割の住宅が切妻屋根だということが分かっています。多くの住宅で採用されているため、デザインが単調になりやすいのは事実ですが、屋根と外壁の配色、窓の形状や配置などの工夫で、オリジナリティを出すことができます。 -
■切妻屋根を「おしゃれ」に見せる7つのデザイン法則
日本でもっとも一般的で、人気のある切妻屋根。その一方で「他の家と同じような外観になりそう…」と不安に思う人もいます。
しかし、外壁の素材や色、軒のデザイン、窓まわりなど“屋根以外”の要素を工夫することで、切妻屋根はぐっとおしゃれに見えます。
「切妻屋根×◯◯」の組み合わせを意識すると、住まいの個性をしっかり演出できます。
ここでは、切妻屋根をセンス良く見せる7つのデザイン法則を紹介します💡 -
法則1:【素材】で差をつける
屋根や外壁の見た目だけでなく、【素材】にこだわることで、建物の雰囲気や印象はがらりと変わります。特に、ガルバリウム鋼板や塗り壁、無垢材などの異素材を組み合わせるデザインは、切妻屋根をおしゃれに見せる人気のテクニックです。
〈屋根〉
種類 内容 特徴 ガルバリウム鋼板 アルミやシリコンなどで合金でメッキされた金属素材 ◎耐久性がありサビにくい
◎軽いため耐震性が高い
スレート 〚天然スレート〛
天然石を使った屋根材
〚化粧スレート〛
セメントで加工した屋根材〚天然スレート〛
◎耐久性が高く、色あせない
△希少性が高いためコストが高い
〚化粧スレート〛
◎重量が軽く耐震性に優れている
△薄い板状のため、割れやすく防水性が低い洋瓦 セメントや金属、粘土でできたものなど様々 ◎セメントは寿命30年程、粘土瓦は寿命40~50年以上
△重量があるため耐震計画が必要
〈外壁〉
種類 内容 特徴 塗り壁 左官職人が手作業で仕上げる外壁 ◎職人の手仕事で生まれる唯一の質感
◎継ぎ目がなく美しい仕上がり
△ひび割れが発生しやすい無垢材 杉・ヒノキ・レッドシダーなどの天然木を使用した外壁 ◎自然素材ならではの風合い
△紫外線・雨に弱く、経年変化が大きいサイディング 金属・窯業・樹脂・木質など種類が豊富 ◎国内で最も普及している外壁材
◎金属・窯業・樹脂・木質など素材が豊富
◎デザインバリエーションが多い
△つなぎ目のシーリングが劣化する
ポイント💡
耐久性の高いガルバリウム鋼板と、塗り壁や無垢材といった温かみのある異素材を組み合わせる手法は、比較的コストを抑えながらもおしゃれに仕上がるため非常に人気があります。
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法則2:【配色】で魅せる
◎ワントーン
ワントーンでまとめた外観はスタンダードで落ち着きがあり、シンプルでミニマルな雰囲気に仕上がります。白や黒の定番色は、シンプルでモダンな都会的なデザインとも相性が良いです。
◎ツートーン
屋根と壁、あるいは1階と2階で色を変えることで、建物にメリハリが生まれます。同じツートーンでも、同系色でまとめれば上品に、アクセントカラーを使えば個性的な印象になります。ただし、アクセントカラーを使用する場合は全体の5~10%程度に抑えるなど、比率に注意すると上品にまとまります。
◎アースカラー
アースカラーとはグリーンやベージュなど、地球上の自然をイメージしたカラーです。和風・洋風問わずどんなイメージの建物にも合わせやすく、周囲の街並みにも馴染みやすいのが特徴です。
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法則3:【形状と勾配】で個性を出す
同じ切妻屋根でも、屋根の勾配によって印象は大きく変わります。急勾配・緩勾配・アシンメトリーの3パターンについて、それぞれの特徴をご紹介します。
■急勾配
急勾配はシャープでモダンな印象になり、洋風や北欧風の外観によく合います。一方、角度によっては合掌造のような和風デザインにもなります。雨水や雪が流れやすいため雨漏りリスクが低いというメリットもあります。
■緩勾配
緩勾配は落ち着いた雰囲気になり、和モダンやシンプルなデザインと相性が良いです。風の影響を受けにくく、落雷を防ぐ効果も期待できます。
■アシンメトリー
屋根の左右の長さを変えるアシンメトリーは、人とは違うデザイン性の高い、個性的な見た目に仕上がります。
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法則4:【軒(のき)】のデザイン
▷軒ゼロ
軒の出がないデザインは、箱形でシャープな都会的印象になります。しかし軒が壁を守らない分、雨水や汚れが直接外壁に当たりやすく、汚れがつきやすいというデメリットがあります。
▷軒を出す
軒を深く出すデザインは、外壁に陰影が生まれ、重厚感や和モダンの雰囲気を醸し出します。また、壁への雨当たりを防ぎ、外壁の劣化を防ぐという高い機能性も兼ね備えています。
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法則5:【窓の配置】でリズムを生む
一見シンプルな切妻屋根でも、窓の配置次第で建物に表情やリズムが生まれます。妻側に大きなFIX窓を設置することで開放感が生まれ、窓の形や大きさを揃えてシンメトリーに配置すれば整った印象になります。
あえて不規則に配置しモダンな遊び心を取り入れても他と違う個性的な仕上がりになります。縦長窓はシャープ、正方形窓はリズミカルでモダンな印象を与えます。
※FIX窓:開閉できない固定式の窓
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法則6:【妻飾り・破風(はふ)】のアクセント
屋根の傾斜の切り口に取り付けられた部分のことを「破風(はふ)」、妻側に飾りとして取り付けられる部材を「妻飾り」といいます。
洋風の外観であれば、アイアンの妻飾りを取り入れることで、海外の家のような雰囲気を演出できます。

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法則7:【外構(エクステリア)】との調和
外観のおしゃれさは、建物本体だけでなく外構とのバランスによっても決まります。植栽やフェンス、アプローチなど、建物とトータルコーディネートすることで、より統一感のある魅力的な外観デザインに仕上がります。
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■【7選】おしゃれな切妻屋根の施工実例集
HOLIDAYSが手がけた、切妻屋根のお住まいをご紹介します。
外観デザインの工夫や素材選びなど、家づくりの参考にぜひご覧ください。 -
実例①大人かっこいい外観デザインとディテール

黒に近いグレーのガルバリウム外壁が無骨な印象を与えつつ、4つの連窓が際立つ大人かっこいい外観に。シンプルに仕上げるため、ガルバリウム外壁に施工する中間見切りの位置を玄関・天井と揃え、余分なラインが出ないよう細部までこだわりました。
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実例②レンガ調の白壁とダークブラウンの屋根で引き締めた外観

リズミカルに配置した壁が立体感を生み、お城のような雰囲気と重厚感を演出レンガ調のホワイト外壁にダークブラウンの屋根を合わせることでコントラストが生まれ、落ち着いた大人のフレンチスタイルに仕上がりました。
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実例③ラップサイディングで海外風の外観

ご夫婦の趣味を詰め込んだアメリカンヴィンテージハウス。ペールブルーのラップサイディングに、ホワイトの化粧柱や窓モールを採用したことでまるで海外のような雰囲気を漂わせています。さらに、シルバーの玄関ドア、枕木の機能門柱、アクセントとなるイエローのポストをプラスし、細部まで世界観にこだわった外観に仕上げました。
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実例④ガルバとサイディングのアウトドア外観

ガルバリウム鋼鈑とサイディングを組み合わせた、アウトドアテイストの外観。楕円を組み合わせたコンクリートの駐車スペースがアクセントとなり、活動的で力強い印象を与えます。 -
実例⑤塗壁と木目の温かい色使いの外観

こだわった色の塗壁と木目がマッチして、外観からでも温かみを感じられるような色使い。玄関ドアに向かってあえて軒を下げることで、外観全体に重厚感が生まれ、玄関ドアがより引き立つデザインに仕上がりました。さらに、軒天と外壁材の色や素材を合わせることで、建物全体のデザイン性をより際立たせています。 -
実例⑥青い屋根とラップサイディングの平屋

ラップサイディング・サッシモール・ガバードポーチをメインとしたカリフォルニアテイストの平屋。あざやかな青い屋根とパイン柄の玄関ドアがアメリカ西海岸を彷彿とさせます。 -
実例⑦木調軒天とホワイトサイディングが映える

木調の軒天とホワイトのサイディングが映える外観。夜は軒天をテラス間接照明が印象的です。縦格子のスクリーンを設置することで、道路側からの視線を適度に遮りながら、デザイン性の高い仕上がりになりました。 -
■ おしゃれな切妻屋根をつくる際の2つの注意点
⚠1.間取りとの関連性
切妻屋根は屋根の形状によって、2階の天井高、勾配天井の可否、ロフトの設置など、内部空間に大きく影響します。外観だけでなく、室内の快適性や使いやすさも考えながら計画することが大切です。
⚠2.コストのバランス
素材や形状にこだわりすぎると、外装材・屋根材・施工費のコストが上がる可能性があります。「どの部分にお金をかけたいか」「優先度はどこか」を整理しながら、デザイン性とコストのバランスを取ることが重要です。
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■まとめ
切妻屋根といっても形や勾配、色、素材の組み合わせによって外観の印象は大きく変わります。
HOLIDAYSでは、お家づくりのプロがデザインと住みやすさの両面から最適なご提案を行っています。理想の暮らしに合った切妻屋根の家づくりを、ぜひ一緒に形にしていきましょう。
監修 注文住宅HOLIDAYS
愛知県を中心に岐阜県、三重県、静岡県で注文住宅を手がけるHOLIDAYSでは、「デザインも性能も諦めたくない」そんなお客様の想いをカタチにします。耐震性能の最高等級3、断熱性能UA値0.46以下の高断熱を標準としつつ、建築デザイナーがお客様の趣味やライフスタイルを反映したプランをご提案。土地探しからワンストップで対応し、後悔しない家づくりをトータルでサポートします。
